2008年10月25日土曜日

滋賀県のいのちの電話;自殺防止の取り組み

滋賀県の県内の自殺者は、今年の自殺者の増減率が全国ワースト2位となったそうだ。
この滋賀県で、命の電話、自殺の防止の取り組みが始まって、2ヶ月が経過した。まだ、日曜日だけの対応ということで、もし毎日、真夜中まで対応ということになると、100人もの人員が必要になるという。
自殺防止も大変な労力だ。
しかも、相談員は、全てボランティア(無償)とのことで、いやはや、自殺の防止も簡単には出来ることではない。

以下、10月24日の毎日新聞。

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いのちの電話:開設から2カ月 「死にたい」すがる声 親身に寄り添う相談員 /滋賀

◇増員、深夜拡大が課題
 自殺防止の相談電話を受けるボランティア団体「滋賀いのちの電話」(077・553・7387)が8月10日に県内で初めて開設されてから2カ月余り。現状では毎週日曜のみの正午~午後8時だけだが、毎回平均6、7人が悩みを訴えてくる。ただ、PR不足や、相談員が少ないために受付時間に制約があるなど課題もある。今年の自殺者の増減率が全国ワースト2位となった県内の状況や相談員の思いを追った。【稲生陽】
 ◆過去最悪ペース◆
 厚労省のまとめでは、今年5月末現在の県内の自殺者は143人で、前年同期比13・5%増。過去最悪だった03年の330人を超えるペースだ。統計には表れないが、故意に交通事故を起こして死んだと見られるケースもあるという。
 県内では、いのちの電話ができるまでは、県精神保健福祉センターが月~金曜の午前10時~午後9時に運営する「こころの電話」(077・567・5560)が主だった。このため、「京都いのちの電話」に携わる県内在住者らが3年前に滋賀で準備会を設立。8月に相談員23人と京都からの応援2人で活動を始めた。今夏からは12人の新人相談員も1年目の研修に入った。
 ◆終日へ100人必要◆
 現状では、対応は日曜の午後8時間のみだが、365日24時間にするには相談員が100人近く必要だ。奥村千寿子・事務局長は、知名度アップに加え、「時間は県がカバーできない日曜午後にしたが、相談者が孤独を感じる深夜にも拡大しなければ」とし、「初心者でも研修があるので参加してほしい」と話す。
 ◆すべて無報酬◆
 「もう死にたい。助けて」。今月中旬、大津近郊にある、いのちの電話事務所に、病気の女性から電話が掛かった。何度も助けを求めた後、途中で電話は切れた。相談員にとって、最大の喜びは死を決意した人が落ち着いてくれた瞬間。つらいのは翻意せずに電話を切られること。受話器を置いた相談員は静かに無念の涙を流した。
 相談員は交通費も含め、すべて無報酬。同市内に住む女性相談員(49)は、7年前と10年前に友人2人を自殺で亡くした。「今思えば、サインは出ていた。何かしてあげられなかったか」と悔やむ。平日は別の仕事で、相談員として重い悩みを聴くことに当初は動揺したが、今は不安は消えた。「友人にも今なら違う事ができる。もっと楽にしてあげられたはず」と感じ、少しでも自殺者が減るよう受話器を握る。